第37話「ウルトラマン夕陽に死す」

第38話「ウルトラの星光る時」より

 （取材協力  ＥＯＳ様 ）

「帰ってきたウルトラマン」のレギュラーロケ地は、制作会社である円谷プロダクションに近い世田谷区内が多く選ばれています。今回は、その中から２ヶ所を「帰マン」最大のクライマックスと言える第37･38話を通してご紹介します。

（写真をクリックすると拡大で見られます）

坂田自動車修理工場

　個人のお住まいなので、詳細な住所は省略させていただきますが、世田谷区内のマンションが、坂田家に使用されていました。このマンションの中庭は、当時は自動車塗装工場だったそうですが、現在では作業場は撤去されています。（写真には画像処理を施しました）

　坂田家は一見、平屋のような印象がありますが、よく見ると事務所の上がマンションになっているのが画面からでも確認できます。実際は、３階建てのマンションで１階部分が事務所と駐車場になっています。

　事務所部分です。画像処理の上、会社名は伏せさせていただきますが、現在も使用されているようです。手前の壁面が改修されているため印象は変わっていますが、窓やドアは当時のままです。

「帰マン」全編でも最もショッキングなシーンとなった坂田健殺害の現場です。ナックル星人の車は、ここで左から飛び出してきた坂田健をはねて、脱出しようとしたアキを引きずりながら、画面奥の交差点方向へ逃走しました。

　二人を殺されたことで怒りに心を乱された郷は、ウルトラマンになったもののブラックキングとナックル星人のタッグになすすべもなく、完全にノックアウトされてナックル星へ運ばれます。しかし、後編の第38話では、初代ウルトラマンとウルトラセブンがウルトラマンを救出し、ウルトラマン＝郷は地球へ向かうナックル星の主力艦隊を全滅させて地球のMAT基地へ戻るのですが…

世田谷区立総合運動場体育館

　MAT基地へ戻った郷を迎えたのは、ナックル星人に操られた伊吹隊長による死刑宣告でした。

　処刑場へ連行される途中、ただ一人正気を保っていた丘隊員の援護で郷は難を逃れますが、この処刑場への通路および、丘が操られた南たちに追われるMAT基地の屋外施設は、円谷プロに近い砧緑地に隣接した総合運動場の体育館です。

　ピラミッド型の特徴的な建物で、「ウルトラセブン」の防衛軍基地内部や、「怪奇大作戦」のトータス号を中心にＳＲＩが集合した番宣スチールなど、円谷作品ではよく使用されている建物です。

「帰マン」では、２話での柔道や剣道のシーン、１9話での郷の特訓シーンなどで体育館内の施設が使用されています。

　この建物は半地下式で、建物と周囲の敷地との間に堀のようになった通路があり、南たちに追われた丘は建物と敷地とを結ぶブリッジの下に身を隠します。また、通路そのものは処刑場への通路として使われました。

　写真は郷・丘が操られているＭＡＴメンバーと格闘した付近ですが、写真を撮った日は該当シーンのTV画面コピーを持って行かなかったため、TV画面とは異なる方向から撮影しました。雰囲気だけでもお察しください。

　正気に戻ったMATの援護と、初代ウルトラマンやセブンの友情を支えに、ウルトラマンは逆転勝利をおさめましたが、郷は坂田兄妹を失い次郎の兄代わりという新たな役割を得ることになり、これ以降、物語の流れは大きく変わっていきます。

　とはいうものの、そこには郷と次郎の絆と別れという新たなドラマがあったわけで、「38話が事実上の最終回」という意見には、大いに異議をとなえたいところです。

                                                                                            　　　（以上５枚は２０００年１月７日撮影）