バトルコサックの名誉回復を訴えます
スーパー戦隊シリーズ第三作「バトルフィーバーＪ」のメンバー・バトルコサックこと白石謙作。捜査中にパチンコに興じるなど、それまでのヒーローになかった軟派路線のヒーローながら、正義漢は他の戦隊ヒーローに負けず劣らず、決める時はきっちり決める熱血漢でもありました。
そして、彼は一人の少女の傷ついた心を開くため、戦隊ヒーローの命とも言うべき強化服を持たずに外出し、その隙を敵に突かれて戦死しました。
しかし、その死の事情について悪意を持って編集されたバラエティ番組の映像が発端となって、彼の死には不名誉なデマが付きまとっています。
「バトルコサック」と「クリーニング」をキーワードにしてネット検索をかけると、そこには誤解と言うにはあまりにも膨大なデマが渦巻いています。
「バトルフィーバーＪ」と初代バトルコサック＝白石謙作のファンとして、彼の名誉回復を求める声を上げていきたいと思います。
（注：あくまでも架空キャラクターの名誉回復であり、また現在の映像ソフト状況に鑑みて、誤解されている方を過剰に責める意図はありません）
作品データ
ストーリー
デマ情報についての経緯
管理人の考え
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データ
第33話「コサック愛に死す」
1979年９月15日放映
脚本 上原正三
監督 竹本弘一
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ストーリー
バトルコサック・白石謙作はパトロール中、新兵器ドリルミサイルを開発中の三村教授の研究所に立ち寄った。そこでは謙作の親友かつ先輩にあたる神誠が、三村教授をサポートする任務に就いていた。
しかし、エゴスの襲撃で教授は射殺されドリルミサイルの設計図も奪われてしまう。
白石と仲の良かった教授の娘マユミは事件のショックで心を閉ざしてしまい、軽傷ですんだ神はそれゆえにスパイ容疑をかけられ、身の潔白を証明するために失踪した。
マユミは、父を殺されたショックから、フィーバー隊員である白石さえも「人殺し」となじり、「血の臭いがする」という言葉を投げつける。
衝撃を受けた白石は、自分の父同然であった孤児院の神父が暴力団に射殺された辛い過去を思い出し、何とかマユミの心を開こうとする。そして、マサル（連絡員・中原ケイコの弟）の助けを借りて、何とかマユミの心を開きかけた白石は、マユミを元気づけるためダムへのドライブに誘う。
身支度をして基地を出ようとする謙作は、強化服を持って行くように勧められるが、マユミの「血の臭いがする」という言葉を思い出し、「クリーニングセンターに出してある」ととぼけて丸腰のまま出かけていった。
そして、仲間が危惧した通り、ダムからの眺めを楽しむ二人をエゴスのイーグル怪人が襲った。強化服を持たずマユミを人質に取られた白石は、一度はマユミを取り返すが追いつめられ、意を決して敵の銃口の前に飛び出した。敵の銃弾が白石の全身を貫く！
そのとき、駆けつけた神のライフルが敵を追い払った。
伝＝バトルジャパンの指示で、強化服を持って駆けつけたケイコとマユミであったが、白石は強化服に手を伸ばしつつ力尽きて倒れる。フィーバー隊の四人が到着した時はすでに遅かった。
マユミと神、そして仲間たちが見守る中、それでも最後まで軽口を叩きつつ息を引き取る白石。号泣するマユミ、ケイコ、トモコ、そしてすっくと立ち敬礼する四人の仲間。
神は、何かを決意すると、白石の胸に置かれた強化服を持って歩き出した。
神は採掘現場に偽装されたエゴスの作業場に急行すると、友の仇とばかりにライフルを乱射する。その神を助けにバトルフィーバーも登場するがイーグル怪人は「四人で何が出来る？」と嘲笑する。
そのとき、神がバトルコサックのスーツをつけて登場し、マスクをかぶると鮮やかにバトルコサックのポーズを決めた。
新メンバーを迎えたバトルフィーバーは、ドリルミサイルが完成する前に、イーグル怪人とその弟イーグルロボを倒し、白石の仇を討った。
白石の墓前で敬礼する五人を夕陽が照らしていた。
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デマ情報の経緯
読まれた方はお分かりの通り、「バトルコサックは強化服をクリーニングに出している隙に殺された」というのは全くのデマで、「任務とはいえ殺人者である自分の立場に悩み、傷心の少女を気遣うためあえて武器である強化服を持たずに外出したところを殺された」というのが正解です。強化服を本当にクリーニングに出していたかどうかは劇中でははっきりしません。しかし、基地を出る時少女の言葉を思い出して躊躇し、とぼけるように「クリーニングセンターに出している」と答えたやり取りから、自分の意志で強化服を持たずに出たことは明らかです。（なお、クリーニング屋に出していたというのは全くの嘘で、“クリーニングセンター”というセクションが基地内にあるようです）
「クリーニングに出した隙に戦死」という怪情報の大きなきっかけになったのは、ＴＢＳ系のバラエティ番組「ＵＳＯ!?ジャパン」でした。
この番組は、2001年から2003年にかけて放送され、一般視聴者から投稿されたネタをランキング形式で発表する情報番組でした。
この番組の2003年５月24日放映分で「名作アニメから戦隊ヒーローまで衝撃映像ＢＥＳＴ１０！！」という企画を行ったのですが、この中で「バトルフィーバーＪ」第33話を編集した映像を流し、「強化服をクリーニングに出したために死んだ間抜けなヒーロー」として紹介してしまったのです。
僕自身はこの番組を見ていなかったのですが、見た方の話やネット上の情報による限り、強化服をクリーニングに出したのが謙作のとぼけだったことや、そこに至るまでの事情は全く紹介されていなかったとのことです。（90年代後半に別のバラエティ番組でも同じ扱いを受けていたという情報がありますので、そのときの素材をそのまま使ったのかも知れません）
また、その一年後には投稿雑誌「ファンロード」でも、この件を勘違いしたままのコメントが掲載され、「戦隊史上もっとも恥ずべき死に方をした」という酷評までつけられました。
この「クリーニングに出したために」という部分がファンの間で一人歩きしてしまい、現在ネット上でバトルコサックについて検索すると、「間抜けな死に方をしたヒーロー」という評価が定着しつつある情勢です。
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管理人の基本的な考え
「バトルフィーバーＪ」をはじめとする戦隊シリーズや、７０年代中盤以降の東映特撮ヒーローは、本来児童層対象であることや制作上の都合により、どうしてもチープな印象が避けられませんでした。しかし、そのチープさを逆手にとって「笑い」に置き換え、なおかつそこにシリアスなストーリーも盛り込むことにより、独特の世界観を作ってきました。
そのため、ＳＦタッチの話から感動的な話まで幅広いドラマを楽しめる一方、「幼児的視点」「東映的お約束」を考えないで見ると楽しく笑うこともできる作品群になっています。そうした特色を生かしたギャグ編でも多くの傑作があります。
そんな楽しみ方の出来る作品群ですから、ユーモラスなシーンや矛盾のあるシーンを抽出して、突っ込みながらみんなで笑うという楽しみ方は大いにして良いと思いますし、否定するつもりはありません。
しかし、登場人物がとぼけて言った台詞を、編集のトリックで「劇中の真実」であるかのように編集し、本来はシリアスなストーリーをギャグのようにねじ曲げてオンエアするのは、「突っ込んで楽しむ」の範囲を越えた捏造でしかありません。
これは、作品と登場人物、作品を制作した方々、そしてその作品に感動したはずの私たちに対する悪意以外の何ものでもありません。
「バトルフィーバーＪ」は、現在再放送の機会も少なく、ソフトについても過去にＬＤで出ただけという状況です。よって、何も知らずに誤解しているだけの若いファンも少なくありません。「バトルフィーバーＪ」を知る者としては、白石謙作がいつも見せていた余裕ある大人の態度で、「違うよ」という声を発信していきたいと思います。
このページをご覧になった特撮ファンの皆様、どこかでお友達が「バトルコサックは戦闘服をクリーニング屋に出して戦死したんだぜ」とおっしゃっていたら、ぜひ「真相」を伝えてあげてください。
なお、このような捏造映像を流してしまう制作者や、「真相」を知りながらも面白がってデマを拡げている一部の視聴者に対しては、きびしい視線を向けていきたいと思います。
２００６年２月２１日 初稿ＵＰ
２月２４日 一部レイアウト修正
２月２５日 ストーリーの一部とデマの内容を加筆
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